体罰、叱責、指導の違いは教育現場や職場で問題となることがあります。これらの基準を決めて、行為を一律に分類するのはあまり意味のないことだと思います。大まかな違いは、体罰が暴力+指導、叱責が脅し+指導ではないかと思います。
暴力も脅しも受けた方は恐怖を感じることになります。そのため、失敗に対して体罰や叱責を受けると、次から失敗を恐れるようになります。これは次の失敗を強力に防ぐことになりますが、あまりにも強力なために失敗した行為自体を避けるようになってしまうことがあります。くり返し恐怖を感じたり、課題を避けたりすることによって自信を無くし、ひどい場合は不登校や出社拒否に繋がります。指導については、これらのリスクは少ないのですが、失敗を防ぐ効果はよほど丁寧に熱意をもって行わない限りは体罰や叱責ほどではないと思います。体罰については、暴力という社会的に容認されない行為を伴いますので、与える方にも非が生まれてしまう分だけ期待する効果も弱まってしまいます。これらのことから、社会的に考えて悪いことや怠慢については叱責が、失敗については指導が適当ではないかと考えます。
一方、年配の方で「昔は先生に良く叩かれた」「上司に叱責を受けたお陰で今がある」と言って、最近の若者は甘えているのではないかという人がいます。どうして、これだけの反応の違いが現れるのでしょうか。その答えはインセンティブの違いがあるからです。インセンティブとは肯定的な刺激のことで、教育現場や職場では相談にのったり、責任を負ったり、評価するなどの精神的なサポートのことです。恐怖はインセンティブと一緒に経験すると弱まることが知られています。先生や上司が普段からインセンティブを与えるような行動をとり、良好な信頼関係が築かれていれば、叱責でも時には体罰でも有用な手段であったのではないかと思います。反対に、希薄な人間関係であれば指導以外は行うべきでないと思います。体罰、叱責、指導の効果は、日頃の人間関係によって決まるのです。

